はじめに
マルチリージョンでのシステム設計や、海外リージョンで先行リリースされた新機能の国内上陸を待ち望むエンジニアの皆様に、非常に嬉しいニュースです。
AWSは、各リージョンで利用可能なサービスや機能を確認できる公式ツール「AWS Capabilities by Region」(AWS Builder Center内)において、機能(フィーチャー)レベルでの提供開始通知および高度なフィルタリング・比較機能の提供を開始したことを発表しました。
これまで「あの機能、東京リージョンでいつの間にか使えるようになっていた!」という経験はありませんでしたか?今回のアップデートにより、お目当ての機能が特定リージョンで利用可能になった瞬間を逃さずキャッチアップできるようになります。
この機能の概要とメリット
「AWS Capabilities by Region」は、どのAWSサービスや機能がどのリージョンでサポートされているかを横断的に検索できるツールです。今回のアップデートによる主なメリットは以下の2点です。
1. 細粒度な「機能(フィーチャー)レベル」での通知設定
- サービス単位だけでなく機能単位で追跡: 特定のAWSサービス全体だけでなく、その中に含まれる「個別の機能(フィーチャー)」を指定して通知を設定できます。
- 通知方法: AWS Builder Center内での通知(in-app)に加え、通知を有効化してから利用可能になったすべての機能をまとめた「週次Eメールダイジェスト」を受け取ることができます。
- 将来のリージョンもカバー: 「All regions」オプションを選択しておくことで、将来新設されるAWSリージョンも含めたすべてのリージョンを自動的にカバーできます。
2. 19,000以上のAPIと5,000以上のCloudFormationに対応した高度なフィルター
- APIとCloudFormationでの絞り込み: 膨大なAPIオペレーションやCloudFormationリソースタイプを、リージョンごとの提供ステータスでフィルタリングできます。
- リージョン間の「差分」を瞬時に比較: 比較したいリージョン間において、「すべての機能(All)」「一致するもの(Matching)」「差異があるもの(Differences)」を簡単に切り替えて表示できます。
想定されるユースケース
ユースケース1:東京リージョンへの機能上陸をいち早く検知する
米国東部(バージニア北部)などの先行リージョンで発表された最新機能が、自社システムの本番環境がある東京リージョン(ap-northeast-1)でいつ使えるようになるかを自動でウォッチしたい場合、対象の機能に通知を設定しておくだけで、週次ダイジェストなどでリリースを検知できます。
ユースケース2:マルチリージョン展開時のIaC(CloudFormation)互換性チェック
例えば、ディザスタリカバリ(DR)やグローバル展開を目的に、普段使用しているCloudFormationテンプレートを別リージョンに展開する際、特定の独自リソースタイプが移行先リージョンでサポートされているかを一瞬で判別できます。
以下のようなCloudFormationリソースが、移行先リージョンでも正しくサポートされているかをフィルターで確認する際に役立ちます。
AWSTemplateFormatVersion: '2010-09-09'
Resources:
MyGlobalTable:
Type: 'AWS::DynamoDB::GlobalTable' # このリソースタイプが特定リージョンでサポートされているかを比較可能
Properties:
AttributeDefinitions:
- AttributeName: id
AttributeType: S
KeySchema:
- AttributeName: id
KeyType: HASH
Replicas:
- Region: ap-northeast-1
- Region: ap-southeast-1 # 移行先リージョンが対応しているか事前にチェック
注意点や従来の機能との違い
AWSアカウント不要で比較可能、通知には「Builder ID」が必要
リージョン間の機能比較やフィルタリングツール自体の利用には、AWSアカウントへのサインインや登録は一切不要(完全無料)です。ただし、提供開始通知を受け取るための設定には、AWSの無料の個人用IDである「Builder ID」が必要となります。
従来の比較機能との違い
これまでは「Amazon S3」や「Amazon DynamoDB」といった「サービス単位」の大雑把なリージョン間比較しかできませんでした。しかし、今回のアドバンスドフィルターの登場により、「特定のAPIオペレーション(例:特定のDescribeアクション)」や「特定のCloudFormationリソースタイプ」といった、実務レベルの極めて細かい粒度でのギャップ分析が可能になりました。
まとめ
今回の「AWS Capabilities by Region」のアップデートは、マルチリージョンでのアーキテクチャ設計や、最新サービスをいち早く本番導入したいプラットフォームエンジニアにとって、非常に実用的なカイゼンです。
「あの機能が東京に来たらすぐ開発を始めたい!」というものがある方は、今すぐ無料でBuilder IDを作成し、通知を仕込んでおきましょう!
ツールの詳細や通知の設定は、以下の公式ページから試すことができます。